9つのスポーツ基本動作

9つのスポーツ基本動作

サッカーをはじめとして、各競技の特長に合わせた体の動かし方がありますが、基本となる動きは同じなのです。
スポーツは、9つの基本動作(走る・跳ぶ・投げる・打つ・捕る・蹴る・組む・バランス・リズム)があり、すべてのスポーツに共通しており、スポーツ科学に裏付けられたセオリーが存在します。
将来どんなスポーツをする場合にも役立つ、いわば運動神経の基本的な動きを構築できる様なプログラムを基礎から学びましょう。

幼児期の運動のあり方

運動の発達の特性と動きの獲得の考え方

幼児期は、生涯にわたって必要な多くの運動の基となる多様な動きを幅広く獲得する非常に大切な時期です。動きの獲得には、「動きの多様化」と「動きの洗練化」の二つの方向性があり、「動きの多様化」とは、年齢とともに獲得する動きが増大することである。幼児期において獲得しておきたい基本的な動きには、「体のバランスをとる動き」「体を移動する動き」「用具などを操作する動き」が挙げられる。

「動きの洗練化」とは、年齢とともに基本的な動きの運動の仕方(動作様式)がうまくなっていくことである。幼児期の初期(3歳から4歳ごろ)では、動きに「力み」や「ぎこちなさ」が見られるが、適切な運動経験を積むことによって、年齢とともに無駄な動きや過剰な動きが減少して動きが滑らかになり、目的に合った合理的な動きができるようになる。

3歳から4歳ごろ

基本的な動きが未熟な初期の段階から、日常生活や体を使った遊びの経験をもとに、次第に動き方が上手にできるようになっていく時期である。
この時期の幼児には、遊びの中で多様な動きが経験でき、自分から進んで何度も繰り返すことにおもしろさを感じることができるような環境の構成が重要になる。例えば、屋外での滑り台、ブランコ、鉄棒などの固定遊具や、室内での巧技台やマットなどの遊具の活用を通して、全身を使って遊ぶことなどにより、立つ、座る、寝ころぶ、起きる、回る、転がる、渡る、ぶら下がるなどの「体のバランスをとる動き」や、歩く、走る、はねる、跳ぶ、登る、下りる、這(は)う、よける、すべるなどの「体を移動する動き」を経験しておきたい。

4歳から5歳ごろ

友達と一緒に運動することに楽しさを見いだし、また環境との関わり方や遊び方を工夫しながら、多くの動きを経験するようになる。特に全身のバランスをとる能力が発達し、身近にある用具を使って操作するような動きも上手になっていく。さらに遊びを発展させ、自分たちでルールや決まりを作ることにおもしろさを見いだしたり、大人が行う動きのまねをしたりすることに興味を示すようになる。
例えば、なわ跳びやボール遊びなど、体全体でリズムをとったり、用具を巧みに操作したりコントロールさせたりする遊びの中で、持つ、運ぶ、投げる、捕る、転がす、蹴る、積む、こぐ、掘る、押す、引くなどの「用具などを操作する動き」を経験しておきたい。

5歳から6歳ごろ

無駄な動きや力みなどの過剰な動きが少なくなり、動き方が上手になっていく時期である。友達と共通のイメージをもって遊んだり、目的に向かって集団で行動したり、友達と力を合わせたり役割を分担したりして遊ぶようになり、満足するまで取り組むようになる。それまでの知識や経験を生かし、工夫をして、遊びを発展させる姿も見られるようになる。
この時期は、全身運動が滑らかで巧みになり、全力で走ったり、跳んだりすることに心地よさを感じるようになる。ボールをつきながら走るなど基本的な動きを組み合わせた動きにも取り組みながら、「体のバランスをとる動き」「体を移動する動き」「用具などを操作する動き」をより滑らかに遂行できるようになることが期待される。そのため、これまでより複雑な動きの遊びや様々なルールでの鬼遊びなどを経験しておきたい。

遊びの中から獲得

幼児期は運動機能が急速に発達し、体の基本的な動きを身に付けやすい時期であることから、多様な運動刺激を与えて、体内に様々な神経回路を複雑に張り巡らせていくことが大切である。それらが発達することにより、普段の生活で必要な動きをはじめ、とっさの時に身を守る動きや将来的にスポーツに結び付く動きなど多様な動きを身に付けやすくすることができる。そのためには、幼児が自発的に様々な遊びを体験し、幅広い動きを獲得できるようにする必要がある。幼児にとっての遊びは、特定のスポーツ(運動)のみを続けるよりも、動きの多様性があり、運動を調整する能力を身に付けやすくなる。幼児期には体を動かす遊びなどを通して多様な動きを十分経験しておくことが大切である。
体を動かす遊びには、例えば、鬼遊びをすると、「歩く、走る、くぐる、よける」などの動きを、夢中になって遊んでいるうちに総合的に経験することになる。そのため、幼児期には様々な遊びを楽しく行うことで、結果的に多様な動きを経験し、それらを獲得することが期待される。

楽しく運動する時間の確保

多様な動きの獲得のためには、時間(量)的な保障も大切である。一般的に幼児は、興味をもった遊びに熱中して取り組むが、他の遊びにも興味をもち、遊びを次々に変えていく場合も多い。そのため、ある程度の時間を確保すると、その中で様々な遊びを行うので、結果として多様な動きを経験し、それらを獲得することになる。
文部科学省調査では、外遊びの時間が多い幼児ほど体力が高い傾向にあるが、4割を超える幼児の外遊びをする時間が一日1時間(60分)未満であることから、多くの幼児が体を動かす実現可能な時間として「毎日、合計60分以上」を目安として示すこととした。

発達の特性に応じた遊び

幼児に体を動かす遊びを提供するに当たっては、発達の特性に応じて行うことが大切である。幼児は、一般的に、その時期に発達していく身体の諸機能をいっぱいに使って動こうとする。そのため、発達の特性に応じた遊びをすることは、その機能を無理なく十分に使うことによってさらに発達が促進され、自然に動きを獲得することができ、けがの予防にもつながるものである。
また、幼児の身体諸機能を十分に動かし活動意欲を満足させることは、幼児の有能感を育むことにもなり、体を使った遊びに意欲的に取り組むことにも結び付く。したがって、幼児期の運動は、体に過剰な負担が生じることのない遊びを中心に展開される必要がある。発達の特性に応じた遊びを提供することは、自発的に体を動かして遊ぶ幼児を育成することになり、結果として無理なく基本的な動きを身に付けることになる。
これらを踏まえ、幼児の興味や関心、意欲など運動に取り組んでいく過程を大切にしながら、幼児期に早急な結果を求めるのではなく、小学校以降の運動や生涯にわたってスポーツを楽しむための基盤を育成することを目指すことが重要である。

個人差があることを考慮して運動させる

  • 同じ年齢であってもその成長は個人差が大きいので、一人一人の発達に応じた援助をすること。 
  • 友達と一緒に楽しく遊ぶ中で多様な動きを経験できるよう、幼児が自発的に体を動かしたくなる環境の構成を工夫すること。 
  • 幼児の動きに合わせて保育者が必要に応じて手を添えたり見守ったりして安全を確保するとともに、固定遊具や用具などの安全な使い方や、周辺の状況に気付かせるなど、安全に対する配慮をすること。 
  • 体を動かすことが幼稚園や保育所などでの一過性のものとならないように、家庭や地域でも運動機会をつくるようにすること。
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